2012年2月10日金曜日

文京区音羽界隈












音羽通りに出る。護国寺から江戸川橋までの南北に細長いエリアが音羽。歴史を感じさせる建物の講談社や光文社、鳩山会館などがあり、音羽通り沿いにはマン ションが建ち並ぶ。音羽の町名は、将軍・綱吉が母・桂昌院の信任が厚かった奥女中の音羽という人物にこの門前町を与えたことによるという、美しい名前だ。 江戸時代は1丁目から9丁目まであって、この界隈は護国寺の門前町として遊女屋、料理屋が多く集まる江戸有数の繁華街だったという。

鼠坂(ねずみざか)と鷺坂(さぎざか)と呼ばれる急坂がある。文京区音羽の谷から小日向台地への急な坂で、鼠坂はネズミしか通れないような細長い急な坂と いうのが由来と考えられている。森鴎外の短編小説『鼠坂』では「人力車に乗って降りられないのは勿論、空車にして挽かせて降りることも出来ない。車を降り て徒歩で降りることさえ、雨上がりなんぞにはむずかしい。」と書かれている。鷺坂の方は標識の説明によると“この坂上の高台は、徳川幕府の老中職をつとめ た旧関宿藩主・久世大和守の下屋敷のあった。後にここに住んだ堀口大学や、近くに住んでいた詩人の三好達治、佐藤春夫らによってつけられた、山城国 の久世にある万葉集にも歌われた鷺坂と結びつけた「鷺坂」という坂名が、自然な響きをもって世人に受け入れられてきた”とある。

そのふたつの坂の間に鳩山会館がある。入館は4時までということで入れなかったが、坂道を上った高台に立つ由緒ある洋館の外観を眺めた。会館の裏手に住まいらしきものがあるので庭にいた警備の人に聞いたら、親族が住んでいるということだった。

音羽通りを渡り、福祉センターの脇から首都高速5号線をくぐる。関口台公園の脇の鳥尾坂を上り、独協中・高、東京カテドラル聖マリア大聖堂の立派な建物を 見ながら椿山荘へ。結婚式らしき客が多く見られる。寒々しい庭園には花も緑もまだないが、あと1から2週間すると梅の便りが聞こえてきそうだ。

※東京都市モノローグ2011年の総集編(漂流する東京)
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto1.html
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto2.html
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto3.html

photo ; 宇都宮 保 
文;長谷川 京子

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