2012年2月15日水曜日

港区狸穴坂から麻布十番











ロシア大使館の脇、麻布台2丁目と3丁目の間に狸穴坂(まみあなざか)という名前の坂がある。まみというのは雌タヌキ・ムササビまたはアナグマの類のことで、かつて、この坂下のあたりにその穴があったことからつけられた名という説が有力のようだ。ロシア大使館の高い石塀と住宅地の間にある趣のある静かな坂だ。

左手のロシア大使館に続いてあるのが東京アメリカンクラブ。昭和3年に在日アメリカ人と日本人のための会員制社交クラブとして設立されたもので、このクラブハウスにはレストランや宴会場、プールやフィットネスセンター、図書館などの会員用のさまざまな設備があるということ。アメリカ人の親子が出入りする様子や子ども用の大きな遊具が望める。坂の反対側の空き地では、マンション建設予定の看板が設置されている。

坂の途中の狭いエリアが麻布狸穴町。狸穴町の町名が残ったのは、区画整理の際の住民の抗議運動からだという。麻布で旧町名がつくのは狸穴町と永坂町の二箇所だけ。かつてはロシア大使館辺りや東麻布の2丁目3丁目の一部も麻布狸穴町に属していたらしい。坂を降りてくると古くからの住宅や商店も少し残っている。小さな区立狸穴公園には、子どもの遊具と鳥居があり、「狸穴稲荷大明神」がまつられている。

首都高速をくぐって麻布十番大通りに出ると、昼時で人通りが多い。まずは昼食をということで、麺酒肴『萬力屋』という外面も中も賑やかな店に入った。古ダンスやフィギュアや置き物など様々なものが店内を飾っていて楽しい。お客さんに外国人が多いのにも驚く。ラーメンやつけ麺、丼ものや炒め物、基本的に中華なのだがメニューは豊富で、客の要望にも応えてくれる。隣の親子連れは、子どもの苦手なメンマやねぎを無しにして代わりに何かを入れてもらえるか聞いていた。麻布高校や東海大学附属高輪台高校などの近隣の生徒には嬉しい「半ライスサービス指定校」の看板があった。「あぶり叉焼丼」を頂いたが、山椒や黒ごまの香りとパンチがきいて実に美味しかった。

※東京都市モノローグ2011年の総集編(漂流する東京)
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto1.html
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto2.html
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto3.html

photo ; 宇都宮 保 
文;長谷川 京子

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