2012年5月10日木曜日

西日暮里西口 道灌山界隈(荒川区)

◎TOKYO PHOTO  ; NISHINIPPORI no2. 8.5.2012





西日暮里東口から線路の高架をくぐって西口方面に出る。すぐ左手の安全横丁の看板のある急坂を上ると西日暮里公園がある。駅よりずっと高台にあるため、駅からはこの急坂か、大通り沿いの階段を何段も上らないと着かない。そのためか人はほとんどいない。

通りを挟んで向こう側も、高いブロック塀のつまれた上に家が建っている。開成高校の裏手にあたる。この周辺の台地はかつて道灌山と呼ばれ、江戸時代には筑波山や日光の山々などを展望できる景勝の地であった。また、薬草が豊富で多くの採集者が訪れたという。「虫聴き」の名所としても知られていた。

西日暮里公園に「道灌山虫聴(どうかんやまむしきき)」と称する尾形月耕の絵図と説明板があった。「虫聴きの名所は、道灌山が最も有名で、とくに松虫が多く、澄んだ音色が聞けたといいます。このほか、真崎、隅田川東岸、三河島辺、王子・飛鳥山辺、麻布広尾の原が虫聴きの名所でした。…この絵は、道灌山に月が昇る頃、中腹にむしろを敷き、虫籠に虫を入れて鳴かせ、たくさんの虫に音色を催促しています。坂を上がってくる女性が足音を忍ばせている姿ほほえましく感じます。この絵は、明治末頃の作と思われますが、秋の夜長に涼を求めて、老若男女がここに集まり、自然の美しさ、素晴らしさを楽しんでいたのです。」とある。道灌山の崖下には田畑が拡がり、虫の音を楽しむことができたなどと誰が想像できようか。

当時の地名は新堀村で、いつとはなしに新堀に「日・暮・里」の字を当て「日ぐらしの里」と呼ばれるようになったという。明治10年に新堀村から日暮里村に改称された。

※東京都市モノローグ2011年の総集編(漂流する東京)
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto1.html
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto2.html
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto3.html

photo ; 宇都宮 保 
文;長谷川 京子

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